タイムマシンを作るはなし その4
 咆哮。
 大気が揺れる。
 体が熱い。
 こんな、力が、どこにあったのか。
 この体の、なかに。
 違う。
 これは。
 血の中に。
 細胞の、ひとつひとつに。
 刻まれた遺伝子の中に。
 サイヤ人としての、遺伝子の中に。
 脈々と受け継がれてきた、過去の、全ての、サイヤ人の。
 27年前の、27億年前の。
 怒りの力が、この一点に。

 咆哮。
 大地が揺れる。
 この力を。
 どこにぶつければいい?

 ――カカロット、おまえは

 さぞや楽しかったろうな。
 
 この力で。
 フリーザを。

 俺は。
 この力を。
 どこにぶつければいい?

 呑まれそうになる。
 全てのサイヤ人の、戦うことへの渇望に。
 戦いたい。
 戦いたい。
 呑まれそうになる。

 ――待て。

 体中をうねる、熱い蛇を宥める。

 オレの言うことを聞け、サイヤ人ども。
 オレは王子だ。貴様らサイヤ人の、頂点に立つ、ベジータ王子だ。
 戦わせてやる。貴様らの望み通り、戦わせてやる。
 貴様らを統べるのは、オレだ。
 27年前のサイヤ人。27億年前のサイヤ人。
 全てのサイヤ人どもよ、オレに従え。

 オレこそが、スーパーサイヤ人だ。

 ベジータは笑った。
 ついに手に入れた力に、高らかに。




―了―
 

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