未来編オムニバス  プロローグ(トランクスを未来に送り出すとこ)
 2体のあどけない顔をした悪魔が跋扈する世界。

 世界中の軍隊も兵器も意味を成さなくなり、新たな手段を講じるにもそのための施設や設備はことごとく破壊された。とくに、科学者という肩書きがあるものと、彼らが所属していた研究所とその周辺は念入りに。まるで、『科学者』という存在を許さないかのように。
 西の都・カプセルコーポレーションは真っ先に破壊された。史上最高の発明家と称されたブリーフの死亡が報じられた。各地にあった支所も‥‥そしてそれらは、それぞれの都市の頭脳の中枢でもあった、これらが破壊されるということは、都市の頭脳が破壊されると同義である。みるまに都市の、しいては国の機能が衰え、あっというまに国家は崩壊した。

 廃墟と化した西の都。
 しかしその地下で、確実に『それ』は息づいていた。

 希望。

「行ってきます」
 たくましく成長した少年は、母と、仲間達に見守られながらタイムマシンに乗り込んだ。
 HOPE。機体に記された文字。

 希望。

 きっとこの世界は変えられる。
 あのこが生きていれば。
 狂ってしまった歯車が元通りになる。

 どんなにみっともなかろうと、あのこをこの地球に繋ぎ止める。
 さっさと死んじゃったことを後悔しなさい。いまの地球にはね、とんでもなく強い敵がいるんだから。
 神に逆らう行為ですって? 
 この世界が、カミサマの意志だというなら。
 カミサマが間違っている。

 間違っちゃったんだったら、直しなさいよ。
 少なくとも、あたしは直すわ。
 あたしは間違った。だから直す。
 狂った歯車を元通りにする。

 あたしには、その力がある。

 神様?
 いいえ。
 ブルマ様よ!
 
 
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