駄文043/原作考察/最大のジョーク(2)
『スーパーサイヤ人のバーゲンセール』。

これはもう、ドラゴンボール全42巻の、最大のジョークと言っても過言ではないでしょう。

スーパーサイヤ人がぼろぼろ誕生します。
伝説では、1000年に1人生まれるとされています。
wikipediaによれば、『エイジ紀元前238頃、サイヤ人の間で伝説とされる超サイヤ人が出現。破壊と殺戮で宇宙を恐怖に陥れる。この超サイヤ人は「ヤモシ」だという声もあるが、ヤモシは正義の心を持ったサイヤ人である為、前述した「破壊と殺戮で宇宙を恐怖に陥れる。」という記述とは大きく食い違う。』とあります。誰だよヤモシ。
ともあれ、どこの誰やらわからん人物がスーパーサイヤ人とされており、つまり信憑性のない伝説でしかなかったのです。
それが、ここ数年間にワゴンセールできるぐらいに生まれてます。
これはいったい、どういうことなのか考えてみましょう。

ではてっとりばやく、日本の歴史に置き換えます。

漫画の連載が、1984年−1995年で、悟空が超化したのが、何年か詳しく調べるのは力尽きましたが、まあ分かりやすく連載真ん中あたりの、1990年ということにしときましょう。
そこから1000年前。990年頃ですね。
平安時代です。

ざっと手元の年表を見ますと、枕草子と源氏物語がちょうどこのあたりみたい。中国は宋に。クヌート殿下(ヴィンランド・サガ)の名前が出てきた。

源氏物語という、日本文学の代表選手として丁度いい例が出てきたのでここに強引に絡めてみましょう。
さあ、これが『1000年に1作と呼ばれる名著』と呼ばれる作品であるとしましょう。
しかし当時は、『娯楽作品を執筆する』というのがかなり特殊な事態であったと思われる。まず書く人がいない、出版する技術も、ひろく流通させる方法もない。執筆当時も、仲間内だけで回し読みしていた同人誌のレベルでしかないわけだ。この場合はお貴族様なので、「藤原の奥様が本を出版されたので、どうぞ皆様も」と配られる自費出版本としたほうがいいかもしれん。わしも、誰のや知らん詩集持ってる。
そこから時代はすすんで江戸時代。
とうに原作本も無くなって、写本写本が繰り返されてどれが原典かわけもわからん状態のモンが、たぶん玉石混淆でごんごん出版されて、広く流布される状況になりまして。
たぶん、そうとう盛られた伝説がここで作り上げられたのであろう。
『1000年に1作と呼ばれ名著』は、あくまで後世の人間が使う言葉だ。

そして現代。
twitterやらpixivやらで、素人でもどんどんモノが書ける時代、発表できる時代、流通させられる時代です。
そんな中で、「神か」「鬼才あらわる」「保存した」なタグのつくものも、やっぱりどんどん出てくるわけで。

1000年前は珍しかったモノでも、1000年経ちゃ俗っぽいモノになるなんてこと、よくあるんだよ。

しょぼくれ。



余談。
源氏物語研究は、鎌倉時代からこっち、教養書としての扱いだったらしい。それを大衆向け娯楽として出版するのって、つまり英語教科書のエレン先生みたいな消費のされ方なのかなー、って思ったり。
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