駄文040/原作考察/肉体派か頭脳派かというキャラ分けがありますが。
 誰も気づいていないでしょうし本人も忘れてましたが、8月31日でここのサイトも4年なんですわ。4年かかってまともに作文書けてないんだから、ファンサイトが笑っちまうわ。いやいや何をおっしゃいます、商売じゃないんだ、趣味なんだから自分のペースでやりゃぁいいんだよ。うん、わし何事もローペースだから。代わりに200歳まで生きるからついてきなヤロウども!

 えーと、何の話だっけ。
 
 あ、そうそう。肉体派か頭脳派か、って話ね。

 だいたい少年漫画の立ち位置って、主人公のバランス型、もしくは熱血馬鹿。そこに親友的なポジションの賢こいメガネ。体型がマニア向けのやつ。美形。ショタ。こんなカンジじゃないでしょうか。偏ってますかそうですか。
 ではここで、これをドラゴンボールに当てはめてみましょう。シリーズいろいろなんで、まあ、Z編始まってからの初期メンバーでとりあえず。
 主人公。熱血馬鹿ですね間違いないですね。
 親友クールキャラはピッコロにしときましょう。体型がマニア向けなのがクリリン、美形が‥‥じゃあヤムチャにしておこおうか。ショタは、えーと、チャオズしか残ってなかった。天さんは、じゃあ仕方ないからヤムチャと同位で美形キャラにとりあえず座っとってください。あ、天餃ヌキで、悟飯をショタ位置にしてもいいわ。
 ま、こんな配置かなー、となんとなく思ってたんですわ。

 ところで、話は変わりますが、わたくしは原作でいちばん好きなのは、ナメック星編です。あの、悟空不在のまま、ブルマ・クリリン・悟飯という無茶なメンバーで、ベジータ・フリーザを相手に冒険するという、あのワックワクな展開。次から次へと新キャラクターが出てくる、というかシリーズで一番ごちゃごちゃしてないか、あそこの人口密度。主人公不在がいちばん盛り上がるってなんだよそれと思うが、つまり魅力的なキャラクターが大量投入されたのだろう。いやあ、たまらんなあ。
 その中でも、一番好きなシーンが、『遠目にフリーザを見かけてガタガタ震えるクリリンと悟飯』の場面で。いやあもう、あれでフリーザ様のえげつなさを最高に印象づけたなあ、と。

 ここではたと気づいたのです。
 はい、ここからが今日のテーマの本題。長かったよ。

 クリリンって、頭脳派キャラだったんだな!

 改めて思い返してみよう。クリリンというキャラクター。
 初登場は下心ありありの俗っぽいキャラ。亀仙人のもとで修行をする悟空を出し抜くために、あれこれ小細工を労する。悟空が無邪気という名の世間知らずなのに対して、常識的に動く。あのバカが力任せに行くところを、時に礼儀正しく時に媚びへつらい進行させる。
 そして技は多様。武道会での戦い方も、作戦をたて戦法を考える。本能というか野生の勘じゃなくて、理論を組み立ててるようだ。それがクリリンの技の多さにも繋がってんだろう。たぶん食事トレーニングとかしてるぞあいつ。
 その頭脳明晰さは、ナメック星に降り立ってからぞんぶんに発揮される。

 さきほど言った、フリーザ様におののくのがまずそれ。
 脳天気なブルマの横で脂汗かいてるクリリン。まさに『天才は天才を知る』の図ですよ。これがバカだったら、ワクワクすっぞで突進してるところだ。相手の力量と自分の能力を判断し、逃げるのが最善と答えを出して、それに恥じることなく撤退する道を選ぶ。最善のためには自分のプライドなんて犬に食わせるの上等。そりゃあベジータにドラゴンボール渡すっちゅーの。ベジータと手を組んでギニュー対策取るっちゅーの。

 まあ、漫画的な演出として、「うまく立ち回って生き残る」よりは「当たって砕けて奇跡」のほうが盛り上がるだろうから、そんな地味な戦法をつかう主人公は存在できんだろうな。
 しかしナメック星編では、その主人公が不在。
 したがって、繰り上げでクリリンが主人公の立場になってしまったのですわ。

 そしてベジータもまた、あの手この手でフリーザを出し抜くために奔走する。
 つまりこれ、頭脳戦がメインの話だったんだな。
 
 おい待てよ、ナメック星編って、少年漫画にしてはそうとう異色な展開だったんじゃないか、これ?
 なんでも力で解決する熱血バカがいないと、少年漫画ってこうなるんだな!!

 ところで、シリーズ後期には、同じような設定で登場する新キャラクターがいます。
 そう、ミスター・サタンですね。
 下心ありありの俗っぽい、要領だけで生き残ってる悪い大人代表(いいながら、クリリンと同い年だが)。しかし、それが現実なんだよ。下げたくもない頭を下げて、飲みたくもない酒を飲む、そうやって家族を養ってきたんだよ。人生の勝者はどっちかわかんないけど、少なくとも敗者じゃないぞ! というのが大人になるとしみじみ感じます。鳥山明はミスター・サタンがいちばん好きなキャラと言ってたそうだが、あんなヒゲ面のおっさんキャラが作者にも読者にも愛されてる理由は分かる気がする。

 それを考えると、まあベジータの役に立たないこと役に立たないこと。
 下げた頭がビンゴダンス。
 泣く。

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